学術憲章

―「地球社会・地域社会とともに歩む 地域科学部」―

地域科学部は、望ましい地域社会を構築するために人びとがどのように関わっていくべきかを探求する学部です。

そのため、地域の自然や風土・歴史・文化を知る、その摂理を学ぶ、個人と社会の関係および役割を学習する、これらのことに重点をおいた教育を行います。

これによって、人類が目指すべき持続可能な社会の原点を認識します。その上で地域の自然・歴史・文化と関係づけられる、ありうべき地域社会の構築を探求します。そのことによって"人類の平和と共存"に資する学生を育てます。

基本目標

教育の基本目標

地域科学部は、本学のいずれの学部にもない文理融合型学部としての特色を生かし、自然環境の中の社会、それとの調和のとれた文化、生活、行政、産業、福祉のあり方を探求する。そして、現代社会における複合的問題を的確に把握して、その解決を展望できる人材を育成することを教育の基本目標とする。

そのような教育は、本学部の三本柱である地域政策、地域環境、地域文化、地域構造の諸領域における現実的課題追求型のカリキュラムが支える。従来型の学部の専門教育では、特定の分野について深く探求する限定的な教育が行われてきた。しかし、逆に、そのことが現代社会において新たに発生している複合的問題に十分な形でアプローチすることができないある種の閉塞感を生んでいると考えられる。

本学部の教育は、そのような"壁"を打破することができる人材を育成するための一つの提案である。文系分野を主とする学生は理系の知識を、理系分野を主とする学生は文系の知識を持ち、社会で活躍できるよう教育する。さらに、複数の外国語教育を重視し、これによってともすれば英語圏にのみ限定されがちな視野を、広く世界のさまざまな地域に向ける教育も行う。本学部は、人間性の豊かな、そして国際的視野と専門性を合わせ持って行動することができる人材を育成する。

  1. 国際的視野に立って地域の個別的課題を創造的に解決できる能力を高める。
  2. さらに、そこから普遍的方向性を導き出し、それを世界へ発信できるようにする。
  3. 専門性とヒューマニズムをあわせもった人間性豊かな行動する市民を養成する。
  4. 環境と人間生活の関係についての洞察から、持続可能な循環型社会づくりに貢献できる人材を育成する。
  5. 多様な価値観と異なった文化を理解して、現代社会において共存と交流を図りうる素養を身につけさせる。
  6. 自治行政の推進、地場産業の振興、市民生活の中核を担えるプランナーを育てる。
  7. NPO活動・市民的コミュニケーションを基盤とするまちづくりを推進する市民層と連携して教育にあたる。

研究の基本目標

地域科学部が目指す研究の基本目標は、自然環境と人間生活の調和した循環型社会の構築である。そのために、本学部は、地域政策、地域環境、地域文化、地域構造の諸領域における学際的研究によって、「地域科学」という新しい研究領域を創造して、その拠点となることを目指す。そして、環境と人間の営みとの相互作用を科学的手法で解析して、人間生活をより豊かで、快適なものにするための環境づくりを目指すとともに、人間と社会の在り方の問題を総合的な人間文化の視点からアプローチして社会のより望ましい姿を探求する。

本学部の研究成果は、広い観点から見れば、地域社会と世界をつなぐ基盤を構築するものである。また、ミクロな観点から見れば、地域の人的資源の有効活用、地域福祉の充実、地域コミュニティの活力再生、および人間文化の理解と交流など、社会の内的発展へつながるものでもある。

  1. 「地域科学」という新しい研究領域の創造と充実をはかり、その活動の拠点となることを目標とする。
  2. 人文科学、社会科学、自然科学の特性をそれぞれ組み入れた学際的立場からの研究を行う。
  3. 環境の構造・動態や、環境と人間の営みとの相互作用を科学的手法で解析して、人間生活をより快適にする自然的環境と社会的環境を一体化した循環型社会の構築へ向けた方法を研究する。
  4. 都市の再生、農山村の振興をはかるために、地域の歴史・現状分析を踏まえつつ、人的・物的ポテンシャルの有効活用、地域福祉の充実、地域コミュニティの活力の回復等の条件を探求し、地域社会の内発的発展を可能にする政策提言能力を培う。
  5. 人間が営む文化現象および人間と社会の在り方、それらのかかえる問題に着目して、文化的存在としての個人と社会の望ましい姿を探求する。
  6. 以上のような学際的研究から地域と世界をつなぐさまざまな在り方を探求する。
  7. 国内外の教育研究機関との学術交流を積極的に展開する。

社会貢献の基本目標

近年、大学の重要な役割の一つとして、大学における教育・研究活動の成果を広く地域社会に還元することが求められている。地域科学部では、地域社会への貢献の形態と内容について、さまざまな可能性を追究し、実践してゆくことを基本目標とする。人文科学・社会科学・自然科学の専門分野にわたる教育研究機関として、本学部は国際社会・日本社会・地域社会へ多面的に貢献する。本学部の構成員は、諸学界に研究成果を発表し学術的貢献を果たす。それと共に、地域社会とのより良い交流・連繋のあり方を探究し、実りある社会貢献活動を展開することを目指す。

  1. 自由・平等・協力に支えられた活力ある地域社会の構築に貢献する。
  2. 環境保全に配慮した循環型社会の形成に貢献する。
  3. 高齢化・成熟社会に対応した地域福祉の充実に貢献する。
  4. 地域住民、自治体、産業界をはじめとする地域社会との連携・交流を図る。
  5. 多様なかたちでの市民向け生涯教育に貢献する。

学部運営の基本目標

地域科学部の学部運営は、社会の中の大学であり、学部であるとの立場を常に念頭において行われる。しかし、それは教育・研究の自由を保障すべく、高度な自主独立の精神のもとになされねばならない。このことを実体化するためには、学部構成員の協力が何よりも重要であり、その協力の礎は、構成員間の相互尊重、自由な意見交換の雰囲気を維持し、さらに発展させる努力にこそある。

  1. 社会的規範および学内規範に則った学部運営を行う。
  2. 全職員参加による学部運営体制をつくる。
  3. 自由な意見交換のできる透明性ある組織を運営する。
  4. 学部運営に伴う環境への負荷をできる限り増大させないように努力する。
  5. 教育活動・研究活動を支援するための環境を整える。
  6. 教職員、大学院学生、学部学生の交流を促進する。
  7. さまざまな共同研究・プロジェクトを推進する。

基本方針

教育の基本方針

  • 意欲的な学生が入学するように、独自の入試のあり方を検討する。
  • 学生一人ひとりの個性を重視した教育を行う。
  • 学生のやる気を喚起し、将来展望に結びつく教育を行う。
  • 自らの頭で考え、行動できる人材を育成する。
  • 自然・社会・人文科学の境界を作らない幅広い教養と深い専門性を身につけさせる。
  • 地域社会に根ざし、かつ、世界的規模の視野を持つ学生を育てる。
  • 実習・演習を通して、地域社会を観察する様々な視点と技法を養成する。
  • 地域計画および地域経営に関わる政策・制度を学習させる。

研究の基本方針

  • 人間復興、持続可能な循環型社会、平和の構築の精神に基づいて研究を行う。
  • 地域の独自性・固有性を考慮に入れながら、学問の普遍性を追求する。
  • 世界を見据え、地域とともに行動する研究者を目指す。
  • 地域に研究の材をとり、活力ある地域社会の形成を目指し、地域文化の充実に資する研究を推進する。

社会貢献の基本方針

  • 行政・NPO・民間企業などとの協働により、地域の諸問題に取り組む。
  • 市民公開講座などを通して、地域市民へ教育・研究成果を公開し、地域へ還元する。
  • 地域のオピニオンリーダーとして、種々のメディアを通して地域へ働きかけを行う。
  • 地域社会への貢献とは何かをたえず見直しながら、地域社会との発展的な関係を構築する。

学部運営の基本方針

  • 学生と教職員との意思疎通を積極的にはかる。
  • 学部全体で協力し合うことを確認し、本学部の更なる発展に全構成員が力を注ぐ。
  • 優秀な研究者を採用するために、採用人事を重要視する。